2010/07/03

( ゚д゚)<ナズリンハセイギ?

 本日のAllenさん動画ー。





 キャーブライサーン。
 そして以下……コメントレス(ない的な意味で)。
 いや、久しぶりですね。毎日誰かがコメント書いていてくださってくれてたもんですからちょっとさびしいです。思わず過去記事のコメントを受け付けるかどうかの判定部分を見てしまうくらいに。
 しかしこのままでは間が持ちませんなぁ。というわけで東方短編SS解放。
 今日はナズ霖ですよー。





・賢将の趣味



「―――というようなことがあったんだぜ」
「ほう。そんなことがあったのか」

 魔法の森の境界にたたずむ、古ぼけた一件の店、香霖堂。
 その中の自分のお気に入りの定位置に腰掛け、自分の武勇伝を語って聞かせるのは普通の魔法使い・霧雨魔理沙。
 それを聞くのは古ぼけた道具屋の店主、森近霖之助。
 彼は視線こそ手元の本から上げないものの、魔理沙の話には大いに興味がそそられたのか、口元が小さくほころんでいた。

「まったく。せっかく宝船かと追いかけてみたら、肝心の宝がないなんて骨折り損もいいところだわ」
「君はもう少し、神に使える巫女として煩悩を断ちきったらどうだい」

 魔理沙の対面、ちょうどそこに存在していた木椅子に腰かけぶつくさ呟くのは、楽園の巫女・博霊霊夢。
 今回の騒動、ある意味規模や経緯的には異変と呼べず、ほとんどただ働きだったのが納得いかないのだろう。
 お茶、と無愛想に突き出された湯呑を前に、霖之助はため息をついてお代わりを入れてやる。

「そうですねー。私としては、もっと大勢妖怪とか出てきてほしかったです。百鬼夜行とかがいいです」
「常識にとらわれないことと常識を捨てることは違うとだけ言っておくよ」

 魔理沙や霊夢からやや離れた位置で棚を見ていた山の新人神様・東風谷早苗はひとり呟く。
 今回の一件で妖怪退治を始めた彼女、人里での評判もなかなかのようだ。
 だが、香霖堂に時折ふらりと現れる妖怪が「ありゃ巫女っつーより台風だ」と愚痴をこぼしていたのを見ると、ほとんど無差別に妖怪に襲い掛かっているようだが。
 ともあれ、先の宝船騒動を解決して見せた三人、なにをするでもなく香霖堂に集いだらだらとだべっている。店主である霖之助としては、店にある道具に勝手に座ったりせず、ツケを払うか何か買うかをしていってもらいたいというところか。
 だが、常識を無視したり常識にとらわれなかったり常識を捨てたりする少女たちには何を言っても無駄かと悟り、ため息とともに読み終えた本を棚に戻そうと立ち上がる。
 その時、香霖堂の扉が開く。

「いるかな、霖之助君」
「ああ、いるよナズーリン」

 扉の向こうに立っていたのは、ネズミの妖怪ナズーリン。
 その手に普段持っているダウジングロッドは腰のベルトに差し込まれ、普段は配下のネズミか食料が入っている籠が代わりに握られていた。
 そしてその籠の中には、魔理沙や霊夢や早苗には一目でガラクタとしか映らないような品物が入っていた。
 空の上や道端などで出会えば普通に弾幕ごっこだろうが、あいにくここは香霖堂。店主に叱られてしまう。
 少女たちはそれぞれの方法で持って、この妖怪を追い払うこととする。

「ようネズミ。あいにくこの店に喰いもんはないぜ?」

 魔理沙はにやりと笑いながら、その瞳にここから出て行けと力を込める。

「あらネズミ。宝物の探索は終わったんじゃないかしら?」

 霊夢はお茶をすすりながら、言外におとなしくしていろと忠告を込める。

「おやネズミですね。妖怪だから退治オッケーですよね?」

 早苗は懐からお祓い棒を取り出しながら、とりあえずそれに霊力を込める。
 もはや一部は暴力としか言えないが、それでも並の妖怪ならしっぽを巻いて逃げだすような険悪なムードが出来上がる。
 対するナズーリンはどこ吹く風。そして霖之助は本を棚に戻すと、ナズーリンへと向き直る。
 そして、ナズーリンに対する威嚇(一部暴力)を見てまたため息をついた。

「こらこら。人の店のお客様を追い払うような真似はやめてくれ」
「お?」
「客?」
「様?」

 お客様、という言葉に少女たちは驚いたように霖之助を振り返り、ついでナズーリンのほうに向く。

「ここは道具屋だろう?」

 少女たちの疑惑の視線に対し、なにを当り前なという呆れの表情でナズーリンは肩をすくめた。

「おいおい。お前、前にこの店に吹っ掛けられたとか言わなかったか?」

 そんなナズーリンにまゆをひそめて問いかける魔理沙。普通吹っ掛けられるとわかっていて、同じ店を訪ねようとは思わないのではないだろうか。もしそんな輩がいたら、それは金銭的なマゾだろう。

「宝塔の価値をわかっていればこそだろう? それに商人は儲けてなんぼ。彼は何一つ間違ってないと思うがね?」

 魔理沙の疑問を一蹴するナズーリン。
 まあそれはそうだろうが、と渋面を作る魔理沙。

「それに、そういう駆け引きもまた、賢将としては楽しいものだよ。近頃は宝探しばかりで、頭を使う時など無いからね」
「そうかぁ?」
「そうさ」

 首をかしげる魔理沙に対し、ナズーリンをくすくすと笑い声をあげた。
 何となくバカにされたようで、魔理沙は面白くない。

「で? どうしてこの店なの? 道具が必要なら、人里にもっと良心的な店があると思うわよ」

 魔理沙が黙りこんだのを見て、今度は霊夢が質問する。先の騒動の原因ともなった、聖白蓮。彼女が自分の教えを幻想郷に広めるための拠点として寺を建てたい、と言うので人里の職人を紹介しておいたのだが。

「今日はお休みでね。私の個人的な趣味は、人里では解消されないのさ」
「個人的な趣味?」
「そう、趣味さ」

 ナズーリンは言って、手にもっと籠を示して見せる。
 霊夢は眉をひそめた。

「そのがらくたが?」
「余人にはそう見える」

 バカを見る目でナズーリンを見る霊夢だが、ナズーリンの自信は崩れない。
 呆れたように首を振り、霊夢はもうナズーリンを無視することに決める。

「それ、どうやって手に入れました? 方法によっては退治対象ですけど」

 早苗としては、ナズーリンの趣味も手荷物の正体もどうでもいい。要は退治できるかできないかだ。
 退治できれば問答無用で首根っこひっつかむつもりである。

「安心したまえ。これは無縁塚と呼ばれる場所から拾って来たものだよ」

 殺気か鬼気か。ともあれ早苗から発せられる何事かにも動じずに、ナズーリンは答える。
 早苗は眉尻を下げた。

「なんだ拾いものですか」
「そうだよ。あいにく、人の宝物を奪う趣味はなくてね」
「残念です」

 本当に残念そうな早苗に、ナズーリンは悪いねと声をかけた。
 早苗としてはもう興味もない。手に持ったお祓い棒の霊力をさっさと収めてしまう。

「さてさて。ようやく皆納得してくれたところで、商談と行こうか霖之助君」
「そうだね、ナズーリン」

 霖之助は店の奥から持ってきた、上客用の椅子を用意し、ナズーリンは嬉しそうにその上に座る。
 そして差し出されたお茶菓子で一服し、改めてカウンターの上に物品を置く。

「で、今日はこれなんだが」
「ふむ」

 差し出された籠の中に収められたガラクタ。
 霖之助はそれを手に取り、丁寧に検分していく。

「……名称“牙の塔の紋章”、用途“魔術師の証明”か……」
「なるほど。そんな名前なのか」
「こちらのほうは名称“レプリカ・賢者の石”、用途“情報の蓄積”となってるな」
「ではこちらは?」
「これは名称“カイトの腕輪”、用途は“機能拡張”となっているな」

 どれもこれも幻想郷にはない道具なのだろう。霖之助の眉間にしわがよる。
 そんな様子を楽しそうにに見つめるナズーリン。

「それで? いかほどの値がつくのかな?」
「……そうだね。このペンダントには特に力もないし、こちらの賢者の石は本物とは言い難い。さらに腕輪のほうは僕には使えないようだし……」

 霖之助はとりだしたそろばんをはじき、ナズーリンに示す。

「ざっとこんなものだろう」
「おやおや。ずいぶん足元を見られてしまったなぁ」

 提示された額を見て、ナズーリンは思わず苦笑する。
 ちらりと魔理沙がのぞきこむと、目玉が飛び出そうになる。
 何しろ、うまく切り詰めていけば一年は普通に暮らせそうな額がそこには示されていたのだから。

「これでよければ、商談成立ということに」
「まあ待ちたまえよ君。ゆっくり話を煮詰めていっても特に問題はあるまいよ」

 ここで、ナズーリンが動いた。カウンターの向こうの霖之助との距離を詰めるように、肘をついて手を組みその上に顎を乗せた。
 やや霖之助との顔の距離が近くなる。少女たちの体がピクリと反応した。

「君はペンダントに力がないというが、魔術師の証明とされたものだ。希少銀が使われているか、意匠そのものが希少なものか……ともあれ数が少ないことに変わりはあるまい? 少なくとも君の所に同じものはないだろう?」
「まあね」
「それに、こちらの石はレプリカとはいえ賢者の石だ。それに純度だって悪くない……。本物としては使えずとも、宝石としては価値はありそうじゃないか」
「見る人次第だね、それは」
「そしてこちらの腕輪。これは正真正銘、世界にただ一つの品だとわかっている」
「根拠は?」
「私の能力を忘れたわけではあるまい。“世界で唯一の宝物”を探して発見できたのがこれだよ」

 スッ、とナズーリンが口を動かしながらまた距離を詰める。椅子から身を乗り出さんばかりに。
 魔理沙の座っている壺の口がびしりと音を立てた。

「希少性は認めるが、それで価値がつくわけではないよナズーリン。例え珍しくとも、誰かに必要とされなければ道具は」
「おやそれを君が言うかね? 幻想郷一の好事家で、希少な道具に目がなくて、宝塔の価値を一目で見抜き、それを自分のものにしようと散々吹っかけてくれた君が」
「君も認めてくれたように、あれは商人としての商談だよ。決して他意はない」
「そうかな? 私は知っているよ……ダウジングロッドが教えてくれるんだ。あそこはとても魅力的な場所だと」

 ナズーリンの腰がついに椅子から浮いた。霖之助との距離は目と鼻の先だ。
 めき……と霊夢の手元から湯呑茶碗の悲鳴が聞こえる。

「好事家であるのは認めよう。だが、あいにくとこれが提示できる限度額だよ」
「そうなのかい?」
「もちろんだとも。これでも限度額ギリギリだよ。これ以上は逆さに振っても跳んでも出せない」
「フフフ、ずるい人だよ君は。女の口から言わせるのかい?」
「ナズーリン、なにを……」
「わかっているくせに……君と私との仲じゃないか……?」

 まるで睦言を囁くように、霖之助とナズーリンの額がこすり合わさる。
 笑顔の早苗の手元で何かがねじ切れる。

「……ナズーリン」
「……霖之助」

 怪異や異変など比ではない程の殺気、怨念、嫉妬が渦巻く香霖堂。
 その中で、ついに霖之助が動いた。


「……わかった、ここで待ってるといい」

 それだけ言うと、霖之助は立ち上がりそのまま店の奥へ。
 ナズーリンは嬉しそうな表情のまま、お行儀よく椅子の上へと座った。
 少女たちの殺気渦巻く数分の後、霖之助は一抱えも二抱えもありそうな巨大な何かを持って現れた。
 布に包まれてはいるそれは、相当重たそうだ。霖之助の体の力の入り方で、それがわかる。

「やれやれ。とっておきだったんだけどね」
「ああ……」

 待ちきれないといった様子のナズーリンの前に、どんと置かれたそれから、何やらにおいが漂ってくる。
 少女たちは眉根をひそめた。どこかで嗅いだことがありそうだが、自分の知っているそれとは異なる気がする。

「……開けて、構わないかな……?」
「もちろんどうぞ」

 いとおしげに目の前の物をなでるナズーリンに、霖之助はうなずいて見せる。
 許可を取ったナズーリンは、まるで繊細なガラス細工を扱うような手つきで布を取り払って行く。
 ゆっくりと、処女の衣服を取り払うようなしぐさに、思わず少女たちの喉もごくりと動く。
 そして、すべての布が取り払われた時、

「ああ……!」

 ナズーリンは感極まったように声を上げ、思わずよだれを垂らした。
 果たして、彼女の目の前に現れたのは一塊の巨大な白い物体。

「………チーズ?」

 そう。チーズであった。
 ただし魔理沙の知るそれとは大きさが異なるし、硬さも違いそうだ。ついでに穴もあいている。

「ただのチーズではないよ」

 魔理沙のつぶやきを受けてか、霖之助の瞳がきらりと輝いた。

「これはエメンタールチーズと呼ばれる種のチーズで、“チーズの王様”とも呼ばれる最高のチーズさ。何しろ、これだけの塊を作るのに一千リットルもの牛乳が必要なのだからね」
「い、一千って……どれだけなのよ」
「さてね。僕もお目にかかったことはないよ。そもそもこれは、外の世界から流れ着いたものだ」
「外の世界からって……どういうことです?」
「おそらく、貨物船か何かが難破した際、その中身の一部が幻想入りを果たしたのだろうと思われる。幻想郷でもチーズは作られるが……おそらくこれとは比べ物にもなるまいよ」

 少女たちの疑問に答えてやる霖之助。彼にとっては至福の時だろう。己の知識を存分に振るうことができるのだから。
 一方のナズーリンはそんな彼の声も耳に入らないようだ。ただただ、目の前の宝物から視線を外さないよう、うっとりとしている。
 そして少女たちは、何とも言えないこのオチに脱力し、がっくりと肩を落としているそうな。





―あとがき―
 ナズーリンが持ってきたお宝の元ネタは「オーフェン」「吉永さん家のガーゴイル」「.hack 黄昏の腕輪伝説」より持ってきてます。牙の塔の紋章やら賢者の石の欠片はともかく、カイトの腕輪なんか絶対に流れ込んでこんでしょうけど。
 とりあえずナズーリンと会話する霖之助を描きたくて書いた作品。チーズに関してはwiki参照のことですよー。



















































「…………ふぅ、危ないところだった………」

 持って行った品と無事交換することができた目的のチーズを抱えながら空を飛ぶナズーリン。
 その額には玉のような汗がたっぷり浮いているが、重たいチーズを抱えているだけではなさそうだ。

「まさか彼女たちとはち合わせるとはねぇ……。あるいはあの場で私の人生が終わるかと思ったよ」

 殺意、怨念、嫉妬……おおよそ可憐な少女たちとは無縁そうな感情であったが、ナズーリンには良くわかる。
 だって自分も似たような状況に合えば同じ気持ちを抱くだろうから。

「ライバルは多い方が楽しいが、それがあの少女たちとなると厄介かな……?」

 付き合いの長さは向こうのほうが長い。ならばその間を埋めるものはなんだろうか?

「フフフ……楽しいなぁ。やはり、私は理詰めで物事を進めるのが一番楽しい」

 弾幕ごっこにも、そういった理詰めの部分は存在するが、おそらくこれの比ではあるまい。
 何しろあの青年に、色仕掛けの力押しなど通用しまい。幾度かの来訪でそれは十二分にわかった。

「ならやはり……こうして地道に通うしかないだろうねぇ」

 少しずつ、少しずつ。距離を詰めるしかさせてもらえない。
 さすがに手ごわい。この賢将を惚れさせるだけはある。

「でもね、霖之助君……私の距離になったら、後は私のものだよ……?」

 くりると飛んできた道を振り返り、もう見えなくなった香霖堂を見つめる。

「フフ、フフフ……」

 恋する賢将はくるりと宙で輪を描いて、そのまま己の主の元へと飛んでいく。
 いつか彼と、理抜きに語れる日を夢見ながら……。






 とりあえず乙女なナズーリン誰か書いて。

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ども、Allenです。

おお、また報告無しで載せていただいて・・・・・・お世話になってます。萃香温泉は非常に動画編集技術の高い作品です。ACの動画がちょくちょく挿入されますし。むしろあんまりMUGENやってない(ry

設定的にも色々面白そうですね。まあ、うちの動画の設定とは食い違いそうなので出すには少々工夫が要りそうですけども。

まあ、ちょっとだけあとがきで書いてみました。ちょっと意外だと思われそうなところと絡んでくるので、説明しだすと複雑な話になりそうですが。

システムにエラーが生じ始めているのは確かですね。しかし、オリジナルが何処まで考えて組んでいたのかまでは謎のままです。

まあ、アークシステムワークスのゲームは普通にエリアルに持って行くタイプのゲームですからね。AIも、レベルを高くすると結構永久に行く奴がありますから。

基本的に妖怪=人間の敵と言う図式があるからなんでしょうけどね。それが何処まで意識に当てはまっているのかまでは分かりませんが。

ですねー。まあ、元々クラインの方がレイヴァンに取引を持ちかけた訳ですが。目的を果たすのにはここが一番都合がいいぞと言ったので。