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2011/07/01

お手紙:後編




side:はやて





「へ?」

 今日、学校でなのはちゃんたちとお昼ご飯を食べているときのこと。

「だからー。はやてちゃんとユーノ君、お付き合いしてるの?」

 なのはちゃんの一言に、私の頭はフリーズした。
 ……いや、ちょう待って。

「なにそれ? 初耳やねんけど」
「そうなの? 結構、噂聞くんだけど」
「あ、その噂、私も聞いたことある」

 不思議そうななのはちゃんに、フェイトちゃんが援護に入った。
 さすがセンターガードとガードウィングのコンビ。的確なコンビネーションや。
 などと脳内ボケをかましてる場合ではなくて。

「どこから出てきたん、その噂?」
「どこっていうか、どこからともなく?」
「無限書庫に出入りしてる人たちなら、だいたいそんな感じでお話ししてるよね?」

 ねー?と仲良く顔を見合わせる二人。
 ……いや確かによう出入りしとるけど。でも、お付き合いなんて……。

「何はやて、あんたユーノと付き合ってるの!?」
「うう、はやてちゃん、私というものがありながら……」
「いやいやいや!?」

 なんて話をしとったら、アリサちゃんとすずかちゃんが食いついてきた。
 いや二人とも乙女やし、そういう話に食いついてくるのはわかるけど!

「別にユーノ君と私、お付き合いなんてしとらんよ!?」
「またまたぁ。毎週どころか毎日のように無限書庫に行ってるんでしょ?」
「私たち、知ってるんだからね?」

 私の否定の言葉を否定するように、なのはちゃんとフェイトちゃんがいやらしい顔をする。
 いや二人は知ってるやん! 私が無限書庫に出入りする理由!

「い、いやそうやけど、でm」
「何よラブラブなわけ!? あたしたちの中で一抜けとか!」
「ずるいよはやてちゃん!」
「違うから!? ちーがーうーかーらー!?」

 何とか否定しようにも、異様なまでの食いつきで私に詰め寄ってくるアリサちゃんとすずかちゃんのせいで、それもままならん。
 っていうかなんでこんなに食いついてくるん!?

「フフフ、いつも私たちで遊んでくれるお礼なの」
「フフフ、思っていた以上に効果あったねなのは」

 ギャーギャーと詰め寄ってくるアリサちゃんとすずかちゃんの向こうで、悪い顔して笑いあうなのはちゃんとフェイトちゃんの姿が。
 図ったなぁー!?

「どういうことか」
「説明してよね、はやてちゃん!」
「へるぷー!?」

 うわーん!? 二人は二人で、ようわからん気迫で詰め寄ってくるしー!
 どうしてこうなったんやー!?





「まあ、原因は私自身やねんけどね……」

 結局お昼休みの時間いっぱいまで、みんなにいじり倒されて。
 ぐったりしながら帰ってきて、今は机の上に伸びてる私。ぐたー。

「ユーノ君と、付き合ってるなぁ……」

 今日、なのはちゃんたちに言われた噂を思い返す。
 要するに、無限書庫に出入りする女の子と無限書庫の男の子が仲がいいから、そういう関係なんじゃないかと邪推したってことやろうけど。
 でも、私はユニゾンデバイスが作りたくて、その資料が欲しくて、ユーノ君にお願いしとるだけやねんけどなぁ……。
 と、そこで私の視界の中にユーノ君からもらった手紙が入ってきた。

「あ、せや。お返事書かな」

 明日は無限書庫に行く日やし、今のうちにお返事書いておかな。
 そう思って、机に座って、ペンを持って。
 いざ手紙の紙に何を書こうかと考えたとき。

(なんやこれ、ラブレター書いとるみたいやなぁ)

 なんて、うかつに思ってしもうた。
 次の瞬間、ベッドの上にダイブしてその上をごろごろ転がる私。

「違うから! ちーがーうーかーらー!」

 何を迂闊な! なのはちゃんたちの噂を肯定してどうするねん!?

「あ、あそんどらんで、はよ書かな……」

 気を取り直して、机に向かってペンを持つ。

「“親愛なるユーノ・スクライア君へ”……」

 えーっと、何を書こうかなぁ。
 今日、学校であったことといえば……。

「“今日、私とユーノ君が付き合っているという”」

 ガン! ガン! ガン! ガン!

 うかつなことを書こうとした頭を何度も机にぶつける。
 だから何を書こうとしとるんや私はー!
 こんなんわざわざ報告せんでもええやんか!?

「ううー!」

 あかん、何か書こうとすると、今日の噂が頭ん中に出てきよる!
 ちょっと違うこと考えて冷静にならんと!
 そう思って、私はユーノ君が貸してくれた本を読む。
 もう読みおわっとるけど、冷静になるには―――

「………」

 ダメやった。
 なんでかって? ……恋愛小説やってん、これ。
 本の中の主人公は、遠くに住んでる幼馴染と文通しとる、って設定。
 特に障害らしい障害もなく、ただ淡々と幼馴染と文通しとるだけやねんけど……。

「………」

 手紙の内容が、とてもほほえましいというかうらやましいというか。
 お互いのことが、ホンマに好きやって、読んどる私にも伝わってくる。
 すごく、素敵なお話や。

「………」

 少し読み終わった私は、熱に浮かされたようにフラッと立ち上がる。
 そのままふらふら机に座ると、ペンを手に取ってさっきの手紙の続きを書き始めた。

「“親愛なるユーノ・スクライア君へ”……」

 夜も遅いし、明日はユーノ君に会わなあかんし、早めに書き上げなな……。
 で、書き上げて一晩立って。
 起きた私はまたベッドの上で悶絶することになる。

「な・に・を・か・い・と・ん・ね・ん・私ー!」

 恐るべき恋愛小説の魔力。何とも恥ずかしい手紙が出来上がってしもうた。
 いや確かにユーノ君とうわさになるんは別にいややないし、それはええねぇん!
 でもそれをユーノ君に報告するんはどうやねん!
 これじゃ、ホンマにラブレターやんかぁー!

「うううぅぅ…………!」

 唸り声をあげるけれど、正直今から書き直す時間はない。
 何しろ、今日は捜査官研修の日や。遅刻は厳禁や。
 しかもそのあとは無限書庫にいかなあかん。今日までやねん、資料の貸し出し期限。
 ユーノ君は笑って許してくれるやろうけど、本好きの一人として貸し出し期限を守らんのは……。

「うううぅぅ…………!!」

 そんな風に悩んどったら、いつの間にか無限書庫の前に立っとった。
 今日会ったことなんて欠片も覚えとらん。やばい、あとで怒られるかも……。
 いや、そんなこと問題にもならへん。
 例の手紙は、いつものように資料と本の間に挟まっとる。
 これを渡すんか……。

「うううぅぅ…………!!!」

 頭は混乱しつつも、体はしっかり前へと進んでいく。
 気が付けば、ユーノ君の前に私はいた。

「はやて?」
「―――」

 ダメや、ユーノ君の顏まともに見られへん……。
 体は落ち着かなくて、ひたすら揺れとるし、きっと変やと思うとる。
 でもどうしようもない。うわーん!

「―――ん」

 とにかく一刻も早くこの場からは慣れたくて、私はぶっきらぼうに資料を突き出してしまう。
 ユーノ君は戸惑いながらも受け取ってくれたけど、私のおかしな様子に気が気でないようや。
 声をかけようとし、手をこちらに伸ばしてくる。

「え、ええっと」
「じゃ、じゃあね!」

 でもあかんねん、今はいろいろあかんねん!
 私はすぐに体を翻し、赤くなってしもうた顔を見られんように、全力で無限書庫から脱出する。
 そのあとも、どういう風に帰ってきたのかようわからん。

「ただいまぁ!」
「え、はやてちゃん!?」

 乱暴に家のドアを開けて、そのままドタドタ音を立てて自分の部屋に突撃する。
 シャマルの驚いたような声にも構わず、私はベッドの上にダイブした。

「あうあうあうあうあぁ~~~~!!!」

 顔を枕にうずめて、ひたすらバタ足する。
 まだ動かし慣れへん両足が悲鳴を上げるけど、そんなもん知らん。
 今悲鳴を上げたいんは私やねん!

「ちょっとはやてちゃん!? 大丈夫ですか!?」
「だいじょーぶ!」

 心配そうなシャマルの声に、はっきりと答える。
 ドアのすぐそばに気配があったけど、私の声を聴いてすぐに下に降りて行った。
 納得してはいないようやけど、説明はできへん。っていうかしたない。したら死んでしまう。
 こんな、真っ赤な顔を見られたくないし。

「うううぅぅ…………」

 うめき声をあげる。
 あんな内容の手紙を書いたこともさることながら、それを渡してしまうのもいかがなもんやねん。
 こんなん、噂を肯定しとるのと何ら違いないやん!

「うう、うぅぅ…………」

 心臓はバクバク言ってる。
 顔は真っ赤で、めっちゃ熱い。
 顔なんてあげられんほどに、体はむず痒い。

「う、うへ………」

 でも。

「うへ、うへへ……」

 どうしてか、とてもうれしい。
 ユーノ君のこと、好きか嫌いかで言えば好きや。
 でも、付き合いたいとか、恋人になりたいかっていうと、ようわからへん。
 ひょっとして、今胸に抱いてるこの想いが、そういう気持ちなんかもわからへん。
 はっきりそう、告白を書いたわけやない。でも。

「渡せて、よかったぁ……」

 今日のこと、私はきっと忘れない。





 それからしばらくして。

「はい、はやて」

 いつものように、資料を返したり、貸してもらったりする日が来た。

「うん。ありが――」

 そして、いつものように手紙もその中に挟まっとった。
 ――ハートの封がしてある、とてもかわいらしい手紙やったけど。

「―――」

 私は目を見開いてそれを見つめ、すぐにユーノ君の顔を見る。

「………」

 ユーノ君は照れ臭そうに微笑んで、私の顔を見つめてくれた。

「―――」

 私はそのままユーノ君に背中を向けて、無限書庫を出ていく。
 ユーノ君も、それを追ったり声をかけたりはせえへんかった。

「―――!」

 私は今すぐその手紙の封を切りたい衝動を抑えながら、廊下を走り出した。
 年かさの局員さんが、廊下を走らないように注意してくれるけど、私は気にせんと走り続ける。
 向かう場所は、いつもお世話になっとるマリーさんの研究室。

「マリーさん、仮眠室借ります!」
「え、はやてちゃん!?」

 マリーさんの研究室には仮眠室があって、そこのドアには鍵がかかる。
 誰にも見られたくないものとかを見るのに、ちょうどいいんや。
 驚くマリーさんにも構わず、私は仮眠室の中へ飛び込んで、すぐに鍵をかける。
 それから借りた資料をベッドの上に放り投げ、私はユーノ君からの手紙の封を開けた。

“親愛なる八神はやてさんへ”

“お手紙、読みました。びっくりしたよ。そんな噂、聞いたこともなかったから”

 そらそうやろ。私もびっくりしたんやで?

“でも、それ以上に驚いたのは、はやての手紙でした”

“そんな風に思ってくれて、うれしいやら恥ずかしいやら、です”

 うう、それは私もやねんで……?

“はやては、噂になってくれていやじゃない、と書いてくれましたね?”

 うん。

“ごめんなさい。僕は、噂になるのは嫌です”

 ―――あ、はは。そら、そうやね。私と噂になるなんて……。

“噂になるだけ、なんて。嫌です”

“僕は、はやてと真剣にお付き合いしたいと思います。”

 ―――ふえ?

“……今すぐに付き合いたい、というわけではありません”

“そういう気持ちもある、というだけです”

“でも、この気持ちは嘘じゃない”

“……だから、もうしばらくはこの文通を続けてもよろしいですか?”

“自分の中にある、この気持ちをもっと大きく育てたいんです”

“そして、十分大きく育ったら……”

“はやてに告白したいと思います”

「…………」

“その時まで、待ってもらえますか?”

“いつになるかはわからないけれど、きっと告白します”

“だから、その時まで、お返事はとっておいてください”

“……それでは、お手紙のお返事、お待ちしております”

 ユーノ君の手紙を読み終えた私は、しばらくはじっと手紙を見つめていた。

「あ、あはは……」

 やばいどうしよう。顔が、ニヤけてまう。

「あはは、あはははは………」

 声まで上がる。あかんて。ここ、隣にマリーさんがおるんやで?

「あははは、あはははははは!!!」

 ダメや。どうしても抑えられへん。うれしすぎて、心の中が抑えられへん。

「やったー!!!」
「はやてちゃーん!?」

 思わず立ち上がって、叫び声をあげる。
 マリーさんのびっくりしたような声が聞こえてくるけど、気にしない。
 だって、あの日、ユーノ君にあの手紙を渡したときに抱いた気持ちが、ずっとずっと大きくなっているのが分かったから。
 この気持ちが恋や愛に変わっていくんやろうか。
 それとも、嫉妬や誰かを憎む気持ちに変わってしまうんやろうか。
 そんな期待や不安を抱いてしまうくらい、大きな気持ちが胸の中で育っているのを感じてる。
 どんなふうになってしまうかわからへん。
 けどな、ユーノ君。
 この気持ちを育てたいんは、私もやねんで?

「家に帰ったら、すぐにお返事書かな!」

 せやから、待っててな?
 すぐにお返事、書くからな?




 そんなわけで後編のはやて編。少しでも、はつきあいな雰囲気が出ていれば幸い!

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コメント

非公開コメント

やばすぎです!!テンションが変に成りそうです。もっとユーはやをやって欲しいです。実際にこんな感じだったら良かったなと思います。次回の更新待っています。
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